5月19日に開催された『みしまの研究室WEBセミナー』のレポートをお伝えします!


第15回は株式会社フードケアで介護食シェフとしてご活躍中の在川一平様を講師としてお迎えし、『手作りと既製品を組み合わせた嚥下調整食のご提案』というテーマでセミナーを実施しました。

今回のセミナーは調理実演もあり、嚥下調整食のコード分類を理解するにはとても分かりやすい2時間だったと思います。
では簡単にですが、今回のレポ―トをお届けします!

2時間のセミナーのうち、前半は嚥下調整食を作る際の工夫や『嚥下調整学会分類2013』について説明がありました。
嚥下調整食学会分類2013では、このようにコード分類されています。
(図:healthy-food.co.jp
 

図からもわかるように分類0や1は、とろみが付いているものやゼリー・ムースなど、分類2は特に嚥下に、分類3,4は咀嚼に関係していることがわかります。

今回のテーマにもあるように、嚥下調整食を作る際は、既製品と手作りをうまく組み合わせることがポイントです。
では、既製品と手作り、それぞれの強みを考えてみましょう!
既製品は、人件費や光熱費が削減されることからコスト削減、調理時間の短縮、また不慣れな方でも簡単かつ安定した料理の提供が可能であることなどが強みとして考えられます。
一方で、手作りの強みは素材から料理するため味の幅が広がることや、喫食者の摂食嚥下状態に配慮した調理ができること、見た目の形や物性を自由に仕上げられることなどがあります。


調理実演ではトンテキを分類2・3・4に相当する形態で作りました。
トンテキは、舌でつぶせる柔らかさのマルハニチロ やさしい素材を使用しました。
スチコン(スチームコンベクションオーブン)で加熱したものがこちらです。
写真からも簡単に押しつぶせることがわかります。


このままではあまり食欲がそそられるような見た目ではないため、ここで一工夫加えます!
とろみを付けたソース(中濃ソースやケチャップを混ぜて作ったソースに対して1%程度のとろみ剤を加えたもの)をかけ、表面をバーナーであぶっていきます。

 

焦げ目がつくことで、美味しそうな見た目になっています!
オンライン配信のため、匂いまではわかりませんが、いい匂いであること間違いなしです!
こちらは、嚥下調整食学会分類2013のコード分類4に相当する柔らかさです。

分類3は、バーナーであぶることで断面などが少し硬くなってしまうことがあるため、バーナーであぶらずにソースをかけて完成です。


続いて、コード2ー1と2ー2の調理です。
コード2は、病院や施設ではミキサー食やペースト食と呼ばれるものに該当します。
2ー1は物性が均一でなめらかである必要があるため、繊維質な野菜などはミキサーにかける前に柔らかく調理しておくことや、ミキサーにかけた後にうらごすなどの工夫が必要です。
また栄養価を下げないためのポイントとして、
通常であれば、だしを入れてミキサーをかけることが多いですが、その代わりにお粥ゼリーを入れることで栄養価を損なわずに調理することができます!

このように、コード3で調理したトンテキに同量のお粥ゼリーを加え、混ぜ合わせます。

 

柔らかいゼリーやムースなどは、押しつぶして形態を変化させることができるため、手元調理を行うのも工夫の一つだそうです。
ミキサーを使うと洗い物が増え、手間がかかってしまうのが現実…
手元調理をすることで物性を目で確認しながら調理できますし、手間も少なくて良いですね!
コード2ー2はこちらで完成です。

このコード2ー2をミキサーにかけることで、均一な物性になり、コード2ー1が完成です。
写真でも物性がなめらかであることがわかります。



これでコード4、3、2ー2、2ー1すべてが完成しました!
コードごとに並べてみると、こんな感じです。


やはり見た目に関してはコード3や4のように、形がのこっているものは美味しそうに見えます。
今回の調理実演を通して、特にコード3と4に関しては既製品を使用することで、かなりの時短になることもわかりました。
「手作り」と「既製品」を組み合わせることで両方の強みを活かし、嚥下調整食をより簡単に・安く・幅広い食事の種類を提供できるのではないでしょうか?

以上、第15回みしまの研究室レポートでした!

次回【6月16日】みしまの研究室WEBセミナーについてはこちら
第16回みしまの研究室WEBセミナー(夏場の高齢者の脱水と経口補水療法)
お申込み期限は6月11日(金)となります。
たくさんのご参加お待ちしております!